命あるものとマリンスノー ２００５年３月１３日
		何故かは知らぬが、私は今、深海の底にいるらしい。
	ダークブルーの宇宙を仰ぐと、おびただしいマリンスノーが絶え間なく、静かにゆっくりと降下している、 気が付くと、その白っぽい下降物を縫うように、微細な生き物達が上昇している。 彼らは海上まで達するだろうか？それとも、途上で力尽き、マリンスノーと成るのだろうか？
	静寂は死、波動は命、深海の底で私は感じる、 だが、私はこれまで、何を理解できたのか？　　一体、何を悟った、と言うのだろうか？ 怪しげなヴィジョンが日々、心に募るだけである、だが、今はその事については語らない、 マリンスノーは下降して、そして、命は上昇して行く、私には、その様な見た通りの事しか理解が出来ない。
		深い海はひどく冷たい、　　私は懸命に熱を発する、
	答えを欲し、虚空に問うが、答える者など何もない、 私の問いに答えはないのか？　　それとも、答えを貰える価値がないのか？ ふと、存在価値、と言う言葉が脳裏を過ぎる、 全ての生命は今も上昇をし続けている、だが、私は深みに取り残される、光は私には届かない、
		重力は死、光は命、　重力が恐ろしい呪いを発しつつ、私を捕らえて離さない、
		それとも、深海の圧力に負けたであろうか？肉体がきしみ、痛みを感じる、 だが、それも生きている事の証だろうか？ マリンスノーがある限り、多分、私は生きるだろう、そして、マリンスノーと命との微妙な交錯を見続けるだろう、 霊魂は永遠であり、その認識がこの世の未来を決めるのだから、
		だが、もしかすると、その呪いを発する重力は私自身であるかも知れない。
ところで、私、この深海で、真っ青な高層ビルの土台が傾いて、脇のビルに倒れ掛かる夢を見ました。 それは本当に奇っ怪な夢でした。
Cotosiro