可能世界・陰の神話 第一章　第一話		幻夢への招待 This was revised in December 13, 2006. This was revised in Descember 13, 2007. This was revised in August 27, 2008.		野口博正の提供による 　あるひとつの可能世界
	深夜、影浦はまだ、眠れずにいた。安息をもたらす筈の静けさが逆に、神経を過敏にさせる。「ああ、しょうがない・・」影浦はそう呟くと、布団の中で、身体を丸めた。寝入ろうとして、横に成ると、睡魔はすぐに来るのだけれども、頭脳はむしろ、活性化をする。まるで、頭脳が眠ろうとする意識に逆らって、藻掻いているかの様である。ひょっとして、意識の方は半分くらい、眠っているのだろうか？だが、その様な自覚など、無いのである。ならば、やはり、眠ってはいない、と言う事なのか？寝ぼけ頭で考え込んでも、結論が出る、とも思えぬし、大した問題とも思えぬけれども、ついつい、あれこれと考えてしまう。影浦はふっ、と、息を吐き出した。 この所、ずっと、この様な状態が続いている。この様子では、また、朝方まで、鬱々とせねば為らないらしい。「ああ、うんざりだ」もはや、目を瞑っている事自体が苦痛なのである。影浦はもぞもぞと背中をよじって、掛け布団から、顔だけを覗かせると、渋々、薄眼を開けてみた。辺りには、どんよりとした闇が広がっている。影浦はふと、怪しい感覚に捕らわれた。闇の淀みがまるで、魔性の物か何かの様に、蠢く様に感じるのである。錯覚であろう、とは思うけれども、影浦はつい、蠢く闇を凝視した。だが、何も見えない。影浦は無視する様に、闇から、ふっと、視線を外すと、身体をゴロンと、反転させた。「それにしても、今、何時だろうか？」彼はその侭、俯せに成ると、もぞもぞと、ベッドの右端まで、身体をずらした。 ベッドのすぐ脇には、大きな木製の机が置いて在る。その縁には、ステンドグラス製で半円形の傘を持つアンティークな照明スタンドが乗せられていた。彼はそのスイッチへと右手を伸ばした。顔は伏せられた侭の状態である。だが、それは何時もの事なので、スイッチを押すのに、雑作は無かった。スタンドが点灯されると、赤熱電球特有の温かい光が、彼の頭をわずかに掠って、目前の床を浮き上がらせる。其処には、書き損じの原稿が散乱していた。その様はまるで、原稿が何らかの意思を持って、屑籠から湧き出した、かの様である。執筆を促す様にも思われた。ふっと、顔を上げて、置時計を見ると、それはきっかりと、深夜の一時を指している。頭が少し、回り始めた。「どうせ眠れんのなら、一つ徹夜でも遣ってみようか？」影浦は声ならぬ声で呟いた。 だが、体は妙にかったるい。そして、頭もボーッと、している。とても、仕事に成る、とは思えない。「まあ、無理が通る仕事でもない、とにかく眠ろう」影浦は床の原稿から視線を外すと、反対側へと体を返した。と、天井の羽目板が気に掛かる。思わず、其処に視線を向けると、板目の模様がズルッと、動いた。錯覚なのに決まって居るが、薄気味の悪さは拭い切れない。何とはなしに、それは魔物に見えるのである。「どうも遺憾な、見なきゃ良いんだろ？」影浦は目線を反らして、瞼を閉じた。だが、妙だ。一旦、その様なイメージに填って仕舞うと、生半可な事では抜けられない。恐ろしげなイメージは鮮明と成って、不可解な不安が頭をもたげる。「羽目板から抜け出して、襲って来るのでは無いのか！」影浦はその様な妄想にすら捕われていた。
	理性はしきりに否定をするのだけれども、心はそうは思っていない。影浦は布団の中へと顔を埋めた。「ひょっとして、心の病か？」影浦はふと、そんな具合に自分に問うた。無論、それは後から打ち消す為の伏線であるが、本当の所は分から無い。影浦は殆ど無意識に枕元の聖書を引き寄せた。 これは今や、殆ど習慣と成っている。信者と言うのでも無いのだけれども、妙に気分が落ち着くのである。影浦はパラパラとページをめくり始めた。だが、読むべき箇所など決めては居ない。彼はいい加減の所で手を止めた。見ると、其処はエゼキエル書の三十八章である。影浦は何時もの様に字面を追った。読み進むほどに、聖書は彼を惹き付けて、恐ろしき世界へと誘って行く。そして、予言は三十九章へと入って行った。終局の予言が述べられている。影浦は何時しか、その絶対的な恐怖の中に我が身を置いて漂っていた。
	そのエゼキエルによれば、神は自らの意志で、マゴグの支配者、ゴグを動かし、世界に混乱を招くのらしい。具体的には、イスラエルを攻めさせるのである。だが、この北の大国の支配者は神の意志などとは露ほども知ら無い。自らの意志と思い込み、イスラエルに刃を向ける。そして、凄まじい戦闘が繰り返される。だが、その決着はなかなか付かず、血と屍だけが地を覆って、イスラエルはその全土が焦土と化すのである。「だが、何故、神は自らを信ずる者達までも、死に至らしめねば為らんのか？」影浦は次のページをせわしく捲った。 さて、イスラエルが焦土と化したその時、神は初めて動き出す。とは言っても、イスラエルを救おう、と言うのでは無さそうである。神はその怒りを暴発させた。いや、影浦には、その様に思われた。神は自らが全ての主である事を知らしめる為、ゴグばかりか、海沿いの国々、つまり、ヤペテの子孫たる欧州諸国、全てに火を送り、そのことごとく（悉く）を滅ぼそう、と言うのらしい。（この予言はあまりに文明化をして、自らの神を信じず、家族や隣人を愛さず、放蕩三昧をし続ける人々への警告である。くれぐれもご用心を！） 全世界は見る間に火炎に飲み込まれ、焼き尽くされる事と成るらしかった。「何という不条理、そして、何という神秘なのか！」影浦は瞼を閉じて、書を置いた。何故かは知らぬが、心地の良いまどろみが遣って来る。夢の欠片が脳裏を過ぎった。 さて、それから、どれほどの時間が経ったのだろうか？ふと気が付くと、電話のベルが鳴っている。どうやら、少しは眠ったらしい。瞼を開けると、未だ、深い暗闇が深夜である事を明示していた。「クソッ、こんな夜中に！魔物の仕業に違い無い」冗談とも、本音とも、付かぬ呟きである。彼は体を起して、机上のスタンドを点灯すると、その傍らの置き時計へと目を遣った。見ると、時刻は既に真夜中の二時である。魔物などでは在り得ぬけれども、良い知らせ、とも思えない。彼は電話に出るのを躊躇した。何故かは知らぬが、電話に出るのが怖いのである。影浦は再び寝そべって、掛け布団の縁をつかむと、頭の上まで、引き上げた。そして、ミミズの様に体を丸めた。だが、こんな夜中に、あえて、電話を寄越すのだから、急を要するのに違い無い。「しゃあ無い、出るか？」影浦は重い体をゆっくり、起こすと、怖々、受話器を耳に運んだ。
	と、受話器の向こうに声が聞こえる。「あ、影浦さんですね、夜分、遅くに申し訳ありません、急を要しましたので」押し殺した様な男の声である。だが、聞き覚えなど、全く無い。「えっ、どなた？ お名前は！」苛立ちの所為だろうか？影浦は詰る様に問いかけた。男が言った。「あ、済みません、私、宮城、と申します、いえ、決して怪しい者ではありません、と、とにかく、話を聞いて下さい」だが、自分から、怪しくない、と言うのも、どうか、と思う。そして、話のし様も、妙におずおずとして、歯切れが悪い。その所為だろうか？何とはなしに、隠された意図も感じ取られる。「こんな夜中に？怪しく無い、だと？」それとも、そう感じる自分の心が、ねじ曲がってでも居るのだろうか？いずれにしても、電話口に出た以上、用件だけは聞かねばならない。「とにかく、手短に話をさせて、早々にお引き取りを頂こう」影浦はその様な気分で話を急かした。
	だが、男は影浦の期待には応えなかった。妙に口ごもって、聞き取り難い。話の内容も、曖昧である。「えっ？分かん無いよ！」影浦は腹立ち紛れに、男をなじった。と、男の声がヒタッと、止まる。ほんの一瞬の静けさが、影浦には、永遠にも思われた。男が言った。「では、手短に申し上げます、でも、驚かないで下さいよ？実は、あなたの命が危ないのです」いきなり、深夜、電話を寄越して、これは何と言う言いぐさだろうか？「えっ、何だって？冗談など、止したまえ！」景浦は思わず知らず、声を荒げた。と、男が言う。「冗談？いえ、違いますよ！これは本当の事なんです！信じて下さい！」とても、まともな話とは思えぬけれども、影浦は何故か、黙って聞いた。男が言った。「ですが、電話では、詳しいお話が出来ません、会って頂きたいのです、明日の午後、五時、あなたが良くお使いに成る喫茶店、ボンボンでお待ちをします、必ずですよ、命に関わる問題ですから」「えっ？ちょっと君、待ちなさい」余りに一方的な要求に、影浦は思わず、話を遮った。だが、返事は無い。気が付くと、既に、電話は切れていた。「何が命に関わるだ、馬鹿野郎！」影浦は左手に持った受話器を叩き付ける様にガシャンと、置くと、部屋の中を歩き回った。「ふん、たちの悪い悪戯だ！きっと頭でもおかしいんだろう、全く！」だが、影浦の電話番号は電話帳には載せては居ない。行きつけの喫茶店まで知って居ると成ると、単なる悪ふざけ、とも思えぬのである。企みの臭いも嗅ぎ取れた。「だが、どの様な？」影浦は不愉快な想いのまま、ベッドに潜った。 影浦はその翌日、島根の大社町近郊のとある田園に佇んでいた。昨日の電話も気に成るけれども、これは以前からの計画である。最近、ここで、巨大古墳が発見された。今回はその見学を兼ねた旅行であった。見渡すと、田園の広がる向こう側には、出雲の山々が迫って見える。古墳はその山際に溶け込む様に、静かな佇まいで鎮座していた。自然の山を整形した物らしいが、古墳としては、途轍も無く巨大な代物である。発見が遅れたのも、その所為らしいが、噂に違わず、それは特異な外観を露わにしていた。水田の方向には、方墳らしき物も見受けられるので、全体的には、前方後円墳の形状ではある。だが、樹木に埋もれた円墳の部分は鋭角的に聳えており、むしろピラミッド、と表現をする方が的確であった。頂上の高さも相当のものである。大社の町並みと、その向こうに広がる日本海までが臨めそうにも思われる。古墳の麓の辺りに目を移すと、林道らしき地肌が林の所々から顔を出して、古墳の斜面へと連なっていた。おそらくは、頂上にまで、続いて居るのである。「此処は一つ、登ってみようか？三十分も掛ければ充分だろう」影浦はそう思い立つと、軽い気持ちで、歩き始めた。
	天を仰ぐと、トンビが一羽、晴天の空の一角で、円を描く様に滑空している。眼下に、ネズミでも、いるのだろうか？だとすると、ネズミにとって、それは恐ろしい事態の筈だが、影浦には、鼻歌でも出そうな、実にのどかな光景である。久々の爽快感に、彼の足取りは軽かった。だが、林道に入って、いざ登り始めると、歩みは思うに任せ無い。道は思いの外、凹凸が厳しくて、その傾斜も登るほどに、きつく成る。油断をすると、しばしば足下がフラ付いた。頂上はすぐ其処にある様にも思えるけれども、道がつづら折りの所為であろうか？距離はなかなか、詰まってくれない。登るほどに、足は益々、重さを増して、息苦しさも増して来る。気が付くと、妙な汗がじわじわと、体の全体から染み出していた。頭が妙にボーッとしていて、景色を眺めるゆとりも無い。影浦は足元の地面に視線を落として、ただただ、足を動かし続けた。「こんな筈では無かったが、体の調子でも悪いのか？」だが、頂上は既に、目前である。彼はひたすら、歩みを続けた。
	さて、それから、どのくらいの時間を歩いたろうか？ふと、気が付くと、其処は既に、頂上である。「果たして、何時、着いたのか？」記憶を辿るが、はっきりしない。影浦は妙な気分に陥った。だが、標識があるので、頂上に達した事は間違いがない。彼は差し当たり、辺りの様子を眺め回した。麓で見た通り、この地方に自生する種々の樹木が競い合う様に繁茂している。「けど、こんなに密生していたか？」だが、歩きながら、頂上の中央部に視線を向けると、その五十平米ほどの平坦部では、下草が刈られて、 樹木も大方は切り倒されて、荒れた地肌を露わにしている。その所々には、大木の切り株も散見された。その光景が妙に殺伐として、痛々しい。影浦はその中から手頃な切り株をひとつ、選び出すと、腰を下ろして、汗を拭った。そして、登り切った事に安堵した。だが、麓の景色が気に掛かる。影浦は下ろしたばかりの重たい腰をどうにかこうにか、引っ張り上げた。だが、景色は見えない。欝蒼と茂る樹木や雑草が下方の視界を遮っている。「なんか、妙だな？」影浦は首を捻りながら、ゆっくりと前方に少し歩むと、樹木の隙間から麓を覗いた。だが、どうした事か？眼下には、その一面に、怪しげな靄が立ち込めていて、彼の視界を遮っている。「ン？何時、曇ったんだ？」影浦は咄嗟に天を仰いだ。と、見渡す限りの青空に、真夏の陽光が反射している。「エッ？何で？」影浦は予期せぬ状況に戸惑いながら、再び麓を見下ろした。と、何故だろう？彼の期待に応える様に靄が蠢いて、薄れ始めた。そして、視界が開けると、出雲の山々が眼下に見えた。古墳の裾野の辺りには、鬱蒼とした森林に埋もれるように、小さな焼き畑が点在している。だが、この光景は何処かがおかしい。山々は何故、古墳よりも低いのか？いや、そればかりでは無い。大社の町並や田畑など、其処に見える筈の景観が忽然と姿を消したのである。鬱蒼たる森林が圧倒して、所々に焼き畑が散見をされるだけだった。その向こうには、荒れた海が広がっている。ダークブルーの海だった。 到底、理解の出来ぬ状況である。影浦はその光景をただ、呆然として、眺め見ていた。気の所為か、森林や小さな焼き畑が遠ざかる様にも見えるのである。「どういう事だ？」影浦は思わず知らず、天を仰いだ。と、何故なのか？頭上に広がる白雲がやにわに動いて、落下を始めた。ずんずんと彼に接近して来る。「エッ、何なんだ？これは？」動揺を抑えて、辺りを見るが、異様な状況は変わらない。麓の景色は遠ざかり、白雲はなおも、落下をしていた。だが、その様な事は有り得ない。「アッ、そうだ！古墳が隆起をしてるんだ！」だが、本当なのか？影浦はやにわに、目眩に襲われて、思わず地べたへと這い蹲った。気が付くと、地面が微かに振動している。辺りの立木が揺れ始めると、山が鳴って、空気が震えた。地面の上に亀裂が走る。見る間に、大きく皹割れて、辺りの立木を飲み込み始めた。すぐ脇に生える大木が不気味に軋んで、悲鳴を上げる。一瞬、グラッと、大きく揺れると、影浦へと向かって、倒れ掛かった。「あっ、危ない！」影浦は四つん這いの侭、転がる様に、亀裂と倒木とを交わし続けた。大小の土塊が弾け飛ぶと、あちらこちらで、土砂が崩れる。樹木を次々と巻き込んで、雪崩と成って、斜面を下った。
	見ると、斜面の所々に、巨大な石組みが露出している。見る間に、古墳は変貌をして、巨大なピラミッドとして、立ち現れた。下界の森林は既に無く、茫漠たる砂漠が圧倒している。見渡す限りの砂丘が続いて、生在るものなど、何も無かった。そして、今、ピラミッドの頂上にいる影浦がその自分の様を天から見ている。彼は紺碧の空の下で、道標を失った一匹の蟻の様に、頂上の岩石にへばり付いて、ただ、あたふたと、蠢いていた。 気が付くと、既に、隆起は止んでる。そして、地震の余波も治まっている。「今の内に、降りようか？」影浦はそろっと、下方に目を遣った。遙か遠くに地面は見えるが、ピラミッドの傾斜は途轍も無い。もしも、足でも踏み外したなら、地上まで、真っ逆様に落ちそうである。「どうしよう？」影浦は途方にくれて、遠くを見つめた。と、その遙か彼方、砂漠の一角で、砂塵が舞った。褐色の渦を成しながら、ピラミッドへと向かって、突進して来る。見る間に、砂塵が辺りを覆って、景色は闇に包まれた。砂の粒が激しく当たる。凄まじいほどの風圧が影浦の体を突き上げた。
	「あっ、危ない！」影浦は咄嗟に石組みにしがみ付いて、辛うじて、滑落を免れた。既に、嵐は遠くに去って、異様な静けさが支配をしている。そっと、天を見上げると、灰色の雲が垂れ込めて、怪しい渦を為して、蠢いていた。そして、それは見る間に、黒雲へと変貌して行く。突然、閃光が天を過ぎると、恐ろしい雷鳴がとどろき渡った。大粒の雨が降り始めると、霰の様に容赦なく、影浦の身体を打ち据える。幾筋もの稲妻が天を貫き、一際、大きな稲妻が影浦の脇をすり抜けた。だが、妙である。今し方、駆け抜けた巨大な光は何故か、稲妻とは思えない。影浦は恐る恐ると、天を仰いだ。と、其処には、金色に輝く巨大な蛇が稲妻を放って、浮いている。鋭い二本の角を持って、鎧の様な鱗をまとう龍の様な大蛇である。黒雲の中を縫う様に飛んで、影浦をじっと、凝視していた。金色の眼が恐ろしい。嵐の様な眩暈が襲って、影浦は意識を失った。
	影浦はふっと、目覚めると、ベッドに突っ伏して居る自分に気が付いた。息を詰めてでも居たのだろうか？胸がやけに重苦しい。影浦は静かに息を吸い込むと、時間を掛けて吐き出した。だが、あれは本当に夢だったのか？感覚的には、現実の体験と変わりが無い。在り得ぬ事と考えたいが、心はそうは思わない。影浦は自分の心理に戸惑った。意識は依然、朦朧として、妙な悪寒も体を包む。気が付くと、パジャマがぐっしょりと、濡れていた。ひどい汗だ。彼はむっくりと、身体を起こすと、もどかしそうに脱ぎ捨てた。夢は心理的体験の映像化、とも言われる。此の所の不安感がその様な夢を呼んだであろうか？「いや、きっと、そうだ」彼は納得をした様に頷くと、ゆっくりと煙草を吸い込んだ。と、その刹那、ひとつの直感が脳裏を過ぎった。「そうか、あの電話の所為だ、あの忌々しい男の話が此の所の不安感に言代主のイメージを重ね合わせた、それが夢と成って、現れた、きっと、そうだ」
Cotosiro