可能世界　陰の神話 1997年-2009年~2012年~
			野口博正, that is, Cotosiro
		は　じ　め　に This was revised in September 28, 2009. This was revised in February 11, 2012. Old Edition
	今から、二十年ほども、前に成るのだろうか？私はそれとは知らぬ間に、人生の落とし穴へと填って仕舞った。 いや、むしろ引きずり込まれたと言う方が、実感が籠もっていて、良いのかも知れない。 いずれにしても、未だに、其処から抜けられずにいる。 その所為で、長い年月、真っ暗な迷路を彷徨っているのだけれども、やはり、出口の明かりすら見えては来ない。 だが、そのおかげで、少しだけは利口に成った。 其処に落ちて、自分の弱さと愚かさと、何も知らぬという事を、初めて、知ったからである。これも、ひとえに、孤独と闇の賜である、とでも言っておこうか？ 論理のコンパスで、物を考えて、直感で、闇を歩く内に、不可解な能力を会得したのである。 だが、それまでは、体験的に考える、という、当たり前に思える事すら、全く出来ては居なかった。 人間とは何なのか？世界は、何によって動いて居るのか？いや、自分が一体、何者で在るのか？ その事すら、何も知っては居なかったのである。 もし、その事の幾らかでも、分かったならば、あるいは、光を見る事も可能なのではないのか？ 私はその様に思い付くと、落とし穴の暗闇で、淡い期待を抱きつつ、稚拙ながら考え始めた。 だが、如何にしたなら、それらの真実が分かるのだろうか？俄には、思索の方向すら、定められずに、他者の知恵に活路を求めた。そして、浅薄ながら、幾分かの知恵は学び得た。 だが、それで、全てが、分かるものでも無く、また、それらの答は本来的に他から、学べるものでも無かった。最後には、自分の心の深層を探る事が必要だった。 従って、否応なしに、日本人としての自分を考えねば為らず、生物としての自分、また、物理世界との関わりに付いても、考えざるを得なかった。 生まれてこの方、それらの中で、生活をして、様々なものと、深い関わりを持ったのであるから、その方法論は当然であった。私はそのようにして、自分の心を探り始めた。 これから語るであろう物語はその様な考察から醸し出された、一つの可能世界での真実である。 だが、もしかすると、その一部はこの世なのかも知れず、その場合、それは否応なしに、現実を描写する事にも成りそうだった。 差し当たり、時は昭和、場所は日本に設定してある。今、知られざる力がひたひたと、現実へと押し寄せて、奇怪なる現象を表し始めた。
	目　　次		物語る前に　記憶の秘密と可能世界
	第一章 第一話　幻無への招待 　　　　　　第二話　怪しい墳墓 　　第三話　宮城の体験 　　第四話　祟り神 　 1．怪しい電話　２．巨大なオロチ 　 　　第二章　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第三章 第一話　古代の怨念 　第二話　縄文とアイヌ 　　　第一話　忍び寄る憎悪 　第二話　隠された魂 　 第四章 　　　第一話　神々の秩序 　第二話　モルモット 　第三話　壱岐の不安 第五章 　　　第一話　悪しき予感 　　第二話　迷妄への誘い 　　第三話　祟り神の謀り事 　　第四話　危険な兆し 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1．盗聴者 ２．三木の憂鬱 第六章 　　　第一話　まともな被験者 　　第二話　康夫の行方 　　第三話　厄介な敵 　　　　　　第四話　中臣の疑念 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1．怪しい集団 ２．建比良の憂鬱 第七章 　　　　　　第一話　大いなる想念 　　　　　　　　　　　　　第二話　祈言宗 　　　　　　　　　1．認識不能な確かな実在 ２．ジレンマ　　　　　　　　1．フリーライター ２．見慣れぬ女 　　　　　　第三話　面会希望者 　　　　　　　　　　　　　第四話　男の正体 　　　　　　　　　1．藻岩山の秘密 2．予期せぬ惨劇 第八章 　　　第一話　呼び掛ける美穂 　第二話　霊波における物理的意味 　第三話　御大津姫命・蘇りたまえり 第九章 　　　第一話　押知の秘密 　第二話　背中合わせの魔界 　第三話　神殿の謎 　第四話　伯母の秘密 　 第十章　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第十一章 　　　第一話　草嘉の決断 　第二話　茂の欺瞞 　第三話　特異民族 　　第一話　狂者の企て 　第二話　停滞 第十二章 　　第一話　愚鈍な支部長 　第二話　神々の変質 　第三話　変え得ぬ性 　第四話　不信 第十三章 　第一話　野上と恵比寿 　第二話　エミシの秘密 　第三話　エミシの秘密　その二 　第四話　神と成った恵比寿 　 第十四章　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第十五章 　第一話　崩壊 　第二話　神々の里 　第三話　誤算 　　第一話　罠？ 　第二話　混乱 　第三話　言寄せの祭具 第十六章 　第一話　現実への侵入者 　第二話　揺らぎの現実 　第三話　フラクタル 第十七章 　第一話　妙な盗人 　第二話　秘儀 　第三話　亜真野の挑戦 　第四話　祟り神・かく悟りたまえり 　第五話　神送り 第十八章 　第一話　神々の混沌 　第二話　回帰 　付録　主たる参考書
	読者の皆様へ 此の作品は１９７９年に構想し、１９９４年に完成したものを、１９９７年、幾分、手を加え、Justnetのホームページに掲載しました。 そして、何度か訂正をいたしましたが、Justnetは２００４年三月いっぱいをもちまして閉鎖の止む無きに至りました。 そこで、今回、改めて此処に掲載をいたしました。 なお、この作品の文章は予告無くアップグレードされます。ただし、内容の変更は在り得ません。　　２００３年，１０月．某日
Cotosiro